INTERVIEW百色移住インタビュー

島の人々に触れ、その温かさに「ここで住みたい」と心動かされた

森川理沙さん

頭のどこかにずっとあった「農音」

埼玉県川口市で生まれ、専門学校を卒業するまで実家暮らしだった森川さん。美容系の仕事に就くも、体調を崩し退職。療養をしながら時々アルバイトをし、「自分は何がしたいんだろう」と模索していた。そんな時に、テレビのバラエティ番組で目にしたことがあった「農音」(NPO法人農音)のことをふと思い出したそう。「愛媛に行ったこともなければ、もちろん中島のことも全く知らない。けれど数年前に目にした農音のことが頭の片隅にあって」という森川さん。そこで検索してみたところ、元々は首都圏で音楽をしていたバンドマン達が作った組織で、中島でそれぞれが生活をしながら、移住促進活動をしたり、バンド活動をしたりという、オープンなものであった。そこで2泊3日の移住体験を受け入れていることを知り、迷わず申し込んだのが2019年5月のことだった。

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気持ちが動くのに、時間は必要なかった

それから初めて来松。船で約1時間ほどの中島に上陸した。
移住体験では島を一周して、島のここにはこんな施設があって…という生活に必要なことを教えてもらったり、島出身の方たちと話をしたり、バンドの練習に参加させてもらったり。島唯一のホテルがその日はお休みということもあり、移住されてきたご夫婦の自宅に泊めてもらい、かなりディープな中島ステイを楽しんだ。実はその移住体験のツアーでは市内中心部を見ることもなく、本当に中島だけを見たのだそう。そんな中でも、滞在2日目にはもう、ここに住もうと心の中では決まっていたようだ。「埼玉でやりたいこともなかったし、落ち込みがちな生活の中で何よりも久しぶりに心から楽しいと思えた。それに移住者が多いという安心感もありました」と森川さんは言う。ずっと実家暮らしだったこともあり、自立をしなければという気持ちに対して、島のみんなが「助けてあげるよ」と声をかけてくれたことも、安心のひとつだった。
それから埼玉に戻り、早速両親へ決意表明をすることに。ご両親も「自分で決めたことなら応援するよ」と、全面的に背中を押してくれたそうだ。

1ヶ月後には島での生活をスタート!

そしてその翌月、2019年6月には早速移住を実現。まずは松山市の定住促進施設に入居し、中島での生活がスタートした。島に慣れるため、1週間ほどゆっくりと過ごしてから、仕事探しを開始。「いくつか紹介してもらった仕事の中で、島の人と触れ合うこともできるし、この島で暮らす人の生活が一番見えるかなと思って」と、島で唯一のスーパー「トミナガ」でのアルバイトをスタート。レジや品出しなどを中心に担当している。職場の仲間や上司とも仲良く楽しくしているそうで「皆さん本当に面倒見が良いというか、優しくて。仕事以外でもご飯を食べに誘ってくれたり、寂しい思いをすることもないんです」とのこと。埼玉県に住んでいた頃にはあまり感じられなかった、人の温かさや交流する楽しさを実感し、それに助けられている。

27_4自宅では長年の趣味でもあるギターを弾いたり、好きな映画を観たり

困ったことはすぐ周りの人に相談

現在では、地元のバレーボールチームの練習にも参加をし、地元の人や移住者たちとも交流。20代から60代まで幅広い年代の人が集まるというそのバレーでは、年に1度は島内のチーム対抗リーグ戦も行われるそうだ。定住促進施設の使用期限が迫り新しい入居先を探していた時も、チームの仲間に相談したところ、知人が情報収集をしてくれたりと、良き相談相手にもなってくれている。そのおかげもあって、昨年の春からは、職場まで徒歩5分圏内のアパートに引っ越しができたそうだ。

無いのであれば無いなりに

埼玉での何不自由ない暮らしから、突然の島暮らし。不便はなかったのかと問うと、「洋服を買うお店がないくらい? けれど月に1度は松山の中心部に買い物にいくので、その時にまとめて購入すれば問題ないですし、離島ですがAmazonプライムも使えるんです」と笑う森川さん。島のほとんどのお店が18時に閉まってしまうことも、最初は不便かなと感じたこともあったそうだが、慣れてしまえばそれが普通になった。首都圏での生活は便利なことに慣れすぎていたことに気がつくきっかけにもなった。

27_5移住してもうすぐ2年。今でも時間があれば、島をドライブするという森川さん。大好きな大串ビーチをはじめ、美しい景色の数々を写真に撮り、それを両親や友達に送ったり。ご両親も招く予定だったが、2020年は新型コロナウイルス感染症の関係で断念。落ち着いたらこの島に呼んで、お気に入りの景色をたくさん見せてあげたいと意気込んでいる。最近では松山市から、少しずつ足を伸ばして、南予まで探索を始めたところ。

松山暮らしの本音を教えて!

Q 移住者へのアドバイスは?

焦らずゆっくりと1日1日を楽しむことの心地よさがあるので、ぜひ一度体験してみてほしいです。東京や埼玉にいた頃に感じていた、都会の刺激みたいなものは、実はそんなに必要ないのかもしれません。

Q 松山に来て驚いたことは?

中心部からそんなに遠くない島との雰囲気の違い。時間の流れ方が全く違います。あと食べ物がなんでも美味しい。みかんは買うものじゃなくて、もらうものなんだと知りました(笑)。

Q お気に入りの場所は?

大串ビーチは季節を問わずよく行く、お気に入りの場所です。海の色が全然違います!

森川理沙さん

埼玉県川口市で生まれ育ち、なんとなく気になった中島に足を運び、惚れ込んで1ヵ月後には移住。島で唯一のスーパーで働きながら、島の住民との交流を楽しんでいる。

移住時の年代
20代
家族構成
単身
移住スタイル
Iターン
移住時の年代
20代
家族構成
単身
移住スタイル
Iターン