移住者インタビュー
INTERVIEW百色移住インタビュー
松山市はクリエイターにとって恵まれた環境だと、帰ってきて感じます
幾度とない挫折を経験
愛媛の南部に位置する宇和島市で生まれ育ち、高校卒業後は松山市のデザイン専門学校へ進学した大石さん。グラフィックデザインに興味を持ったのは、小さい頃から好きだった「絵を描くこと」がきっかけ。数々のコンテストでの受賞、そして県高校文化祭の美術部門で優秀賞を受賞した経験から、自分には絵を描くことしかできない、それを大切にしようと松山市にあるデザイン事務所に就職するも、4カ月ほどで自分の非力さ、コミュニケーション能力の足りなさを自覚し挫折を経験。このままでは上京して学びたいという夢も実現できないと、自分自身が変わらければと思うようになった。そして上司からの勧めもあり、四国遍路への旅に出ることに。3日目に足のマメが潰れるアクシデントに見舞われるも2カ月弱で廻り終えた。その道中で出会った墓石店の店主から教えてもらった『人皆直行 我一人横行』という言葉が忘れられなかったそう。人に追いつく事を考えるのではなく、その列を横切ってその背中を追わせなさいという意味を持つその言葉を胸に、自身の目標を見つけることができた。またこの遍路を通じて、地域に根付く産業や資源の素晴らしさにも気付いたことから、地元宇和島の真珠産業をデザインで盛り上げたいと思うようになった。そのため、地元の玩具メーカーに勤務しながらジュエリーデザインを学ぶために上京資金を貯め、周りからの反対を押し切る形で上京したのだった。
上京してからは、宝石デザインの専門学校に通いながらアルバイトに明け暮れる毎日。寝る間を惜しんで作品を作っては、デザインコンペにも積極的に出品し、在学中には13回の入賞を果たすことができた。その後、老舗宝石卸会社に就職しジュエリー製造、デザイン業務の中心を担いながら、約10年ほど勤務する中で、同僚だった奥様と出会い結婚。家族も増えた。
地元宇和島のパールデザインコンテストでの入賞も。
愛媛に帰る決定的な出来事
そんな時に、実家の父が病に倒れたとの一報が入る。地元の真珠産業を盛り上げたいとの思いはもちろん、三兄弟の長男であるという責任感やいつかは愛媛に帰るだろうという気持ちはどこかにあったことから、2020年7月に移住を決意。また2020年のコロナ禍の状況で、リモートでの仕事環境が想像しやすくなっていたことも背中を押してくれたそうだ。
決意してからすぐに松山市の移住の窓口に相談。子育ての環境を最優先に考えて居住地エリアの候補を選び、10軒ほど物件を見て回ったあと現在のマンションに決定した。条件は、子供が遊んでも周囲に迷惑をかけないこと、そして宇和島への帰省もしやすい松山ICへのアクセスが良いこと、空港へのアクセスが良いこと。フリーランスとして仕事をする点や、奥様が横浜生まれで都会育ちということからも、宇和島ではなく松山くらいの規模感の街が暮らしやすいだろうと松山市を選び、2020年11月に移住した。現在は子育てをしながら、奥様とそれぞれがフリーランスとして、ジュエリーデザインやグラフィックデザイン、Webデザインなどを手がけている。「維持費もかからないし、ネット環境があれば大概のことはできるから不便さは感じていない」と大石さんは教えてくれた。
以前暮らしていた街でも新鮮な気持ちで楽しめる
仕事の合間の楽しみは子供と一緒に近隣を散歩すること。重信川が近いこともあり、土手をのんびりと散策する時間が一番のお気に入り。また自宅から見える夕日の美しさにも「自然の色には叶わないな」と思うそうだ。
学生時代に松山に住んでいた経験はあるが、15年近く離れているとまた新鮮な気持ちで街を楽しめる。乗り物が好きな子供と一緒に路面電車に乗って市内を一周したりと、今はマイカーを持っていないからこそ、公共交通機関での移動を楽しんでいる。
クリエイターのコミュニティを広げていきたい
「松山はクリエイターにとって恵まれた環境だ」と言う大石さん。都会的な部分やオシャレなお店もたくさんあると感じることも多く、クリエイターが集まる街になればと願っているそうだ。
松山暮らしを始めて3カ月(取材時)で、人とのつながりも少しずつできベースが整ってきたこともあり、次の段階へのステップを模索中。自身のようなフリーランス同士が情報を共有したり、若手クリエイターが経験をオープンにできるようなコミュニティの形成を目指している。
松山暮らしの本音を教えて!
Q 移住者へのアドバイスは?
リモートでできることも増えていますし、せっかくクリエイティブな仕事をするのであれば、刺激や美しいものが多い環境がオススメです。そんな意味でも松山市はちょうどいいと思います。
Q 松山に来て驚いたことは?
以前学生時代に見ていた松山の街中や海、山などの景色は、今見るととても美しく新鮮に感じます。都会的でもあり、自然も豊かで、なかなか他の所にはない環境です。
Q お気に入りの場所は?
重信川の土手沿いです。整備が行き届いていて散歩もしやすく、景色も美しいので気持ちよく散歩ができます。また市内は大抵のところにバスや電車で行けるので、今はマイカーがなくても不便を感じていません。
大石 直樹さん
家族の看護をきっかけに、東京から移住。夫婦ともにフリーランスのデザイナーとして活躍しながら、地場産業をデザインで盛り上げるという目標を叶えるため積極的に情報発信している。https://twitter.com/oishinaoki
- 移住時の年代
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