INTERVIEW百色移住インタビュー

思い描いた夢をチェーンのようにつなげ、叶える。さらなる一歩のために行動あるのみ!

上野亮さん

若いうちに外の世界を見ておきたい!その一心で大阪へ進学

松山市の老舗自転車屋『上野サイクル』三兄弟の末っ子として生まれ、小さい頃から自転車は身近な存在だったという上野亮さん。東温高校を卒業後、大阪の自動車整備の専門学校に進学。

「いつかは実家の家業を継ぐのが自然の流れなんだろうなと漠然と思っていたので、学べるうちに外の世界に触れて経験値をあげておきたかった」という気持ちから、卒業後はそのまま大阪でバイク整備の仕事に就いた。
メーカーや年式に関わらず、様々なバイクの修理に携わる日々。ちょっぴりマニアックなものも取り扱うその会社は面白そうだと自ら突撃して扉を叩いたとはいえ、なかなか過酷な日々だったそう。
それでもがむしゃらに向き合っているうちに、ふと愛媛に戻ってもいいかなと感じるようになった。

大阪には大阪の良さや便利さを感じてはいたものの、何かが足りない。ふと松山での生活の心地よさを思い出す機会が増えてきた。
そんな折に実家を手伝っていた兄が一旦家業を離れるとの連絡を受け、ならばと帰郷を決めたのが2005年。大阪で就職して4年ほどが経過した頃だった。
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帰郷後、自転車の見識を深めるために始めたサイクリングにどっぷり

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松山にUターン後、スポーツサイクルを中心に手がけるスタッフとして、父親と一緒にお店を切り盛りしていく中で、従来の商品やサービスももちろん大切だが、時代に合わせた新しい商品を提案する必要性を実感するように。
「守って行くべき点と変革していくべき点の狭間で、模索していた時期でした」と笑う。そして仕事と並行して、利用者として多くの自転車に乗っていたそう。「ただ自転車と言っても数万円のものから100万円の自転車までピンからキリまであって、詳しくない人が説明したところで説得力も何もないでしょう。だからいろんな自転車に乗って走り、いろんな景色を見て自転車好きと言われる方たちが知っているであろう知識をとにかく取り入れました」と上野さん。一人で、時には仲間たちと、山奥やしまなみ海道まで、ひたすら愛媛県を西へ東へサイクリングしていた。

活動を広げるきっかけになった自身の思い出を、地域の子どもたちにも経験してもらいたい

そうこうしているうちに、仕事にも慣れオンもオフも楽しむ余裕が出てきた。自身がユーザーとして自転車でさまざまな場所に出向いたからこそ、愛媛がサイクリングにとても向いていることを改めて実感し、自転車というコミュニケーションツールを通じて何かできないかと考えるように。実はその根底にあったのは、子どもの頃乗ったマウンテンバイクの楽しさが忘れられなかったこと。「小さな頃の楽しかった思い出はいつまでもその胸で光を放ち、20年後や30年後になっても故郷に帰るきっかけになる」と、上野さんが語るように、そんな経験を地域の子どもたちにもしてもらいたい。その一心で行動を起こす決意を固めた。
37_4まず一歩を踏み出したのは、祖父の地元でもあり子供の頃遊びに行っていた八幡浜。マウンテンバイクの専門的なコースを自由に利用できると知り、レースをしたり小・中学生向けの自転車教室を開催したり、自転車の楽しみ方を体感してもらうイベントを開催するようになった。
いわばそれは、楽しい体験を通じて郷土愛の種を植えるということ。人口が減っているといわれる八幡浜へ帰るきっかけになればとの思いからだ。
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松山市や東温市でもコツコツと活動中

「妻のサイクリング仲間が見つかったらいいなという気持ちから、女性だけのサイクリングイベントの立ち上げを黒子のような形で手伝いました。女性の行動力は凄くて、今では妻主導でやっています」と、ゴール地点で食べるランチや足湯などプラスアルファの楽しみを加えたイベントも実施。
また公園を借りてコースや障害物を設置したシクロクロス(秋冬がシーズンのオフロード自転車競技)のイベントを開催している。そんな実績が次の実績を作るというような良い流れで、サイクルオアシス(自転車休憩所)の整備や、自転車イベントのコース監修やオブザーバーとして意見を求められたりと、松山市内のみならず、愛媛県内での自転車関連事業には欠かせない人材になっている上野さん。
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そして20219月には、念願のスポーツバイク専門店「サイクルショップ フィールド社」をオープンさせた。文字通りその名前には『楽しい場を作る』という意味が込められている。毎日8キロの道のりは当然自転車通勤。それだけにとどまらず、近くの山頂までひとっ走りしてから出勤することも少なくない。「だからこそお店にはシャワーを完備しました」と、何気ない毎日でも楽しむことも忘れない。

「Uターンで帰郷してからの15年間で、自転車に対する理解も進みましたし環境も格段に良くなった」と語る上野さん。仕事柄、日本各地を走る機会が多い中でも、愛媛県は特に走りやすく恵まれていると感じるそう。だからこそ愛好家をもっと増やし、非日常の楽しい体験をより多くの人に知ってもらえたらと、持ち前のフットワークの軽さを生かして活動を続けている。

松山暮らしの本音を教えて!

Q お気に入りの場所は?

やっぱり重信川のサイクリングロード。とても走りやすいし、休憩したくなったらベンチもあります。車を気にせず走れるので、小さなお子さんがいる家族で一緒にという時にもおすすめです。

Q 改めて感じる松山の魅力は?

街の中心部に近いところにちょっと登れる山があるのが好きで、そこにちょっと登るだけでも市内が見渡せる景色が素晴らしかったりするので、そこは松山のいいところだと思います。また三津浜などノスタルジックな場所のポタリング(目的なく周辺を自転車でめぐること)もおすすめ。いろんな楽しみ方ができる街ですよね。

Q 移住を考えている人へのアドバイスは?

人との関わりがあったほうが暮らしが充実します。そのためにもなんらかのコミュニティに入り込むことが大切だと思います。それは趣味でもいいし、単純なご近所付き合いでも。それを見据えて住む街や場所を決めてみてはいかがでしょうか?

上野亮さん

松山市生まれ、松山育ち。大阪の自動車整備専門学校を卒業後、家業である自転車屋を継ぐ決意で2005年にUターン。2021年9月より『サイクルショップ フィールド社』代表。

移住時の年代
20代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Uターン
移住時の年代
20代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Uターン