INTERVIEW百色移住インタビュー

「このままの人生で本当に楽しいのか?」、 人生と仕事を見つめ直して出した答えが農業と移住だった

佐藤 淳さん・由希さん

通勤往復4時間から解放され、家族との時間が格段にアップ
情熱を持てる仕事を求めて農業の道へ

生まれも育ちも千葉県の佐藤さん夫妻が松山に移住してきたのは2022年4月。ふたりにとって、松山は縁もゆかりもない土地だった。
2020年、二人目のお子さんが誕生した際に取得した育児休業期間が淳さんにとって生き方を見つめ直すきっかけになったという。それまで職場へ往復4時間かけて通勤していた淳さんは、当時を振り返ってこう話す。
「新卒で、IT企業に15年間勤めていました。育休を取った際、このままだと子どもと過ごす時間は週末だけ、あっという間に子どもたちは成長してしまって、年を取った時、果たして自分の人生は本当に楽しいのかってリアルに感じたんです」。
家族と過ごす時間が短いことに加え、もう一つ淳さんには気になっていることがあった。それは、自分にとって『もっと情熱が持てる仕事が他にあるのではないか』という気持ちだった。そんな中、何気なく見ていたYouTubeで農業の動画を見る。
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「その時の感覚は上手く言葉では言い表せませんが、とにかくビビビっときて、『あ!農業だ!』って思いました。そして、妻にすぐに『農業がしたい』と相談しました」と淳さん。
成田空港で働いていた妻の由希さんは、仕事が好きだったものの、淳さんの農業がしたいという話を聞いて、二つ返事で快諾したそうだ。
そうして、ふたりは農業を始めることへ人生の舵を大きくきった。

たくさんの「いいこと」ポイントが重なって松山への移住を決定

都内で開催される就農のイベントなどに参加をするうちに、農地などの問題で関東近郊で自分達が考えている農業をすることが難しいと感じたふたり。それならばいっそ住む場所もライフスタイルも変えて、海や山が近いところで暮らしたいなと思い始めたという。
その際、候補に上がったのが、福岡県の糸島と愛媛県の松山だった。
「糸島は、以前遊びに行ったことがあり、移住先の候補に上がったのですが、松山が候補に上がったのは『住みたい田舎ベストランキング』に入っていたからです(笑)」と淳さん。
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移住の下見で、愛媛県にきた時、役所の方々の対応の親切さに驚いたという。
「役所の方々、農業のお話を聞かせてもらったJAの方々、この旅で出会った愛媛県の人たちはすごく良い人たちばかりでした。さらに、実際に松山に訪れたときに感じたのは、空港と街の近さ。関東出身の私たちが地元に帰る時、また親戚や友人に遊びにきてもらう時も空港と街が近いということはかなりメリットだと感じました」と由希さん。
その後、千葉に帰ってからふたりで話し合い、松山に移住することを決めた。さらに、農業の内容においても、愛媛県全体で推している「みかん」農家になることを決意した。

移住後、ぽっかりとできた3ヶ月の自由時間で松山中を散策

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農業をしようと決めてから1年、それまで勤めていた会社を退職し、松山に移住。
まずはJAの新規就農研修センターで研修生として農業を習得することになった。研修は4月スタートだったが、お子さんたちの保育園入園が7月とタイミングが合わず、研修も7月からのスタートに。いきなりできた3ヶ月の自由時間、この時間を家族4人で地域散策をして過ごしたという。
「『今日はどこに行こう?』って自転車でいろんなところに行きました。おかげで研修が始まる前から真っ黒に日焼けしました(笑)」と由希さんは笑う。
しかし、この時間のおかげで松山での暮らしに慣れたそうだ。また、移住後すぐに訪れた興居島では、松山にきて最初の友達もできた。
「興居島のお弁当屋さんにみかん農家を始めると話すと、その方もみかん農家の方で、実際に園地を見せてくれて、色々とお話してくれました。また、僕たちと同世代のみかん農家さんも紹介してくれて、松山に来て初の家族ぐるみで付き合う友達もできました!」と淳さん。
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千葉にいるときは、休みの日は、電車に乗って都内に買い物にいって・・・と過ごしていたが、松山にきてからは休日の過ごし方が変わった。
休みの日はみんなで海や山、キャンプに出かけるなど自然の中のんびりと過ごすように変化したそうだ。

日々、新しいことを学び、情熱を持って仕事をする

「移住して新生活を迎えたことで一番良かったのは、日曜日の夕方に憂鬱になることがなくなったことです。決して仕事が嫌いだった訳ではないのですが、通勤時間も長かったので・・・。今は、日々学ぶことばかりで、『明日は何を教えてもらえるんだろう』ってそんなワクワクがあります」と淳さん。
研修センターのメンバーとも親しくなり、ここでの会話も楽しんでいる二人。みかんの話ばかりではなく、それぞれがさまざまなバックグラウンドを持って就農しようと決めたメンバーが多いため、いろんな人の人生を聞いているだけでも楽しいという。
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移住前は、平日の育児と家事は妻の由希さんに任せっきりだったが、移住後は家事・育児は、ふたりで分担して行っている。
「同じ分だけ仕事をしているので、完全に家事・育児は折半ですね。できる方ができることをしています。今は子どものお迎えも行けるし、朝食、夕食も家族揃って食べられる。時間の使い方が圧倒的に変わりました」と淳さんは続ける。

2024年7月に研修生を終える二人。今後は自分達の農地を持って、みかんを栽培し販売していきたいと考えている。「みかんの木を苗から育てる場合、かなり時間がかかってしまいますがそれも覚悟しています。いずれは法人化して大きく事業を展開していきたいです」と将来についても熱く語ってくれた。
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Q 松山のお気に入りの場所は?

たくさんありますが、三津浜は古い港町のノスタルジックな雰囲気を生かしたおしゃれなお店がいくつもあって好きです。まだまだ開拓できていないので、これからもっと三津浜に詳しくなりたいです。あとは、松山城も好きで城山公園のお昼に出ているキッチンカーのところには何度も家族で通いましたね。(由希さん)
移住してキャンプにもハマりました!Nine Villegeは松山市内が一望できるキャンプ場で大好きな場所です。(淳さん)

Q 松山を選んだわけは?

海も山もあって、人が温かく、全てが程よいところです。さらに、空港と街が近いことも県外から移住してきている私たちにとっては良い点でした。(由希さん)

Q 移住で大変だったことは?

農業をすると決めて勢いよく仕事を辞めたものの、研修生としての受け入れがなかなか決まらず、不安でもやもやした期間が数ヶ月続いたこと。研修が決まったら決まったで、子どもの幼稚園の手続きなど、タイミングを合わせることが大変でした。(淳さん)

佐藤 淳さん・由希さん

生まれも育ちも千葉県の佐藤さん夫妻。二人目のお子さんの誕生をきっかけに、生き方を見つめ直し2022年4月に家族で松山市に移住。「みかん」農家になることを決意し、就農をスタート。

移住時の年代
30代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Iターン
移住時の年代
30代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Iターン