INTERVIEW百色移住インタビュー

自分で判断する力を育める街で理想の子育てを

大澤龍介さん・円さん・璃夏ちゃん

コロナ禍と出産が移住への転機に

愛媛県今治市出身の龍介さんと松山市出身の円(まどか)さん。2024年2月、コロナ禍を転機に松山市の移住支援制度「まつやま子育て世帯いらっしゃい事業補助金」を利用して東京から移住。現在もリモートワークで仕事を続けている。人気アニメ映画の音楽やK-POPなどの作詞作曲も手掛ける音楽プロデューサーでありミュージシャンでもある龍介さんは14歳から22歳までをカナダで過ごし、帰国後はずっと東京を拠点として活動してきた。

「今治の母もカナダへ移住したので愛媛に実家もなくなり帰ってくる理由がない。彼女と出会わなかったら愛媛との縁がなくなっていたかも……と思うと、今、松山で暮らしているのはなかなか不思議だなと思って」と龍介さんは笑う。円さんは松山市三津浜出身のグラフィックデザイナー。東京で同居を始めたが、年に数回は松山に帰ってきていた。「都会が苦手で、ずっと松山に帰りたかったんです」と振り返る。

そんな中、コロナ禍をきっかけにリモートワークが世間にも浸透。円さんは「東京の仕事をそのまま松山でも続けられる」と確信し、移住を前提に準備を始めた。そんな最中に娘の璃夏(りっか)ちゃんが誕生。「東京以外の場所で子育てしたかった」という夫婦共通の思いもあり移住準備もスピードアップ。龍介さんの仕事環境が整った2024年2月に松山市へ移住した。

絶対値ではなく相対値を持てる環境

夫婦ともにクリエイティブな仕事を生業にしていることもあってか、娘には「お金を貯めて買いに行く人ではなくて自分で作ってしまう人」に育ってほしいと願っている。「東京のように全てが揃っている土地、与えられている状態ではセンスは養われるかもしれないです。でも、価値感のすり合わせをすることは少なくなってしまうように思う。娘には、絶対値を探すよりは相対値を持って、自分で判断できるようになってほしいと思っています」と龍介さん。松山の自然に囲まれた環境も子育てには嬉しい。東京では子どもたちがゴルフ場を「自然」と呼ぶことに違和感を持った。「瀬戸内海やおだやかな山も見て育ってくれた方が」と璃夏ちゃんをあやしながら二人は口を揃えた。

新鮮な驚きに溢れた松山での日々

ほどよく都会でありながら自然が身近な松山での暮らしは、10代からずっと海外と東京で暮らしていた龍介さんにとっても新鮮だ。「魚もみかんもびっくりするほど安くて美味しい。東京でももちろん愛媛のみかんは買えるし美味しいんですけど、でもやっぱり松山で食べるのは美味しさが違う」と笑顔だ。「生活費も安いので必要のない経費をもっと他のことに回す、このリソースをどう使うかと考えることもできる」とも。松山出身の円さんも「ダンサーをしていた時に道後で野球拳を踊ったことがあるんですけど、その時はもっとこじんまりしていたイメージで。今の道後はすごく面白そうで、璃夏がいろいろ食べられるようになったら連れて行ってあげたい」と、再びの松山での暮らしに心躍らせる。

移住者交流会は貴重な情報源

2024年8月には移住者交流会「まつやま日和」にも参加した二人。「どんな人たちが愛媛に来たいと思うんだろうという、実はちょっと興味本位みたいなところもあったんですけど、実際参加したら面白かったですね」と振り返る龍介さん。「福岡から来られた人に教えてもらったうどん屋さんが美味しかったりして、県内の人にとっては当たり前になって素通りしてしまっている情報を貰えるのは移住者交流会ならでは」とも。Iターン、Uターン、Jターンと様々な形の移住者それぞれが感じることや見えたものをすり合わせしていく機会としても、移住者交流会のような繋がりはもっと増えてほしいと語る。

これからの暮らしに理想的な街、松山

リモートワークで東京での仕事を続けながらの松山での暮らしを始めた二人。「子育てだったり、働く環境であったり、いろんな理由がありますけど、戻ってきたらやっぱり松山がこれからの暮らしをしていく上での理想なのかなって」と、今の生活にすっかりなじんでいる。ミュージシャンとして自身の楽曲リリースも控えている龍介さんは「一度外に出たからこそわかる視点もふまえて、この街で新たな何をしようかと今ちょっと構築している感じです」と笑みを浮かべた。

松山暮らしの本音を教えて

Q 移住してからの休日の過ごし方は?

娘が遊べるところを調べていろいろ連れて行ってあげています。桜の時期に松山総合公園に行った時はまだ歩けなかったんですけど、夏には堀江の砂浜を歩くことができました。

Q 移住者へのアドバイスは?

移住者は遠慮がちになりやすいと思うんですが、「ここ、もっとこうだったらいいのに」というような、外を知っているからこその意見は思い切ってどんどん言ってほしいなと思います。松山の人には「ああ、そういう見方もあるんやね」と受け入れてくれる温かさがあるので。

Q びっくりしたことは?

スーパーに普通に置いてある刺身とかが安いし美味しい。あまりに安すぎるときは、東京の友人に写真を撮って送って自慢しています(笑)。

大澤龍介さん・円さん・璃夏ちゃん

愛媛県今治市出身の龍介さんと、松山市三津浜出身の円さん。出産を機に東京から円さんの故郷である松山へ移住。自然に囲まれ子育てにも理想的な松山での生活を満喫している。

移住時の年代
40代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Uターン
移住時の年代
40代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Uターン