INTERVIEW百色移住インタビュー

自然がそばにある“ふるさと”を子どもたちへ

亀山さんご一家

何気ないひと言からはじまった
“家族の原点”を探す移住ストーリー

2025年4月、千葉県から松山市へとIターン移住した亀山さん夫妻。8歳と3歳の2人のお子さんを育てながら、松山での暮らしをスタートさせた。移住に向けて動きだしたのは、2024年10月頃。スピーディーな決断だったが、移住に関心を持ち始めたのは、決して明確な将来設計があったからではなかった。信州への旅行でふと「自然のある環境っていいね、移住しちゃおうか」とご主人がつぶやいたのがきっかけだったそう。「本当に冗談みたいな会話でしたが、自分の中には小さな火がついて」と、奥さまは当時を振り返って笑う。

「ずっと関東で生活していましたし、祖父母も関東に住んでいるので、映画やドラマで観る『田舎のおばあちゃん家に帰省する』みたいな原体験がないんです。夫本人も言ったことを忘れるくらい軽いノリで言った移住が、私にはとても響いてしまって。移住先情報などを調べていくうちに、トントン拍子に話が進みました」。畑や海があって自然に囲まれた風景、それがご夫妻にとっての『帰る場所』の理想だったという。

ご夫妻の両親たちは寂しい気持ちもあったようだが、本人たちの決断を尊重し、背中を押してくれたそう。「今の時代、リアルタイムでつながる方法はいくらでもあるし、距離はあっても一生会えないわけではない。人間関係が途切れるとは思いませんでした」。

移住先は福岡・広島なども候補に挙がったものの、マイナスイメージが浮かばなかったという松山をまず選んで、松山市内で開催された移住イベントに参加。松山の「コンパクトで移動しやすく、都市機能もある」「海も山も近い」というバランスが魅力に感じられた。その後、家族で松山を訪れ、住宅内見や地域見学を行うなかで「ここなら暮らせる」と確信。間もなくご主人の転職先が決まったため、松山へと拠点を移した。

自転車で完結できる
コンパクトさが暮らしやすい

驚いたのは、移住前と変わらず自転車で生活ができるところ。実は亀山さんご一家は、関東時代から変わらず「車を持たない」生活を維持しているそう。愛媛で長く暮らす人にとって車は必需品のように感じるが、ご主人の職場が自宅から近く通勤で利用することがないということもあり、維持費のかかる車はあえて持たず、遠出など必要なときにカーシェアを利用している。

スーパーや病院、学校、公園など生活に必要な施設のほとんどは自転車圏内。なおかつ、自然を満喫できる郊外エリアまでは電車で20分ほど。以前は千葉のなかでも比較的東京に近いエリアに居住していたため、自然を求めてのお出かけとなると、車だと渋滞を考慮して片道5~6時間、電車であれば小さい子どもを連れての乗り換えの不便さに耐えるしかなかった。

今では、休日は家族で釣りに出かけたり、公園を散歩したりと、これまでよりも自然に触れる時間が増えた。また、温泉が身近にあることも魅力のひとつで、“ふらっと温泉へ”というライフスタイルが定着しつつある。引っ越しの準備と転職活動には、人並みに苦労したそうだが「大変さはあったけど、それ以上に得たものが大きい」と語る。

“よそ者”でも受け入れられる温かさ

地域との関係づくりにも積極的だ。ご主人は青年会に入り、秋祭りでは神輿を担ぐ地域行事に参加した。「関東では地域の祭りに参加する機会が少なかったのですが、ここでは『亀ちゃん来てくれたんか!』と、おっちゃんたちから気さくに声をかけてもらえます。」と、地域との距離の近さを実感している。

奥さまとお子さんたちも提灯行列と秋祭りに参加し、夏には野球拳踊りにも挑戦したそう。上の子は学校の部活にも所属し、近所に仲良しの友だちもでき、子どもらしいかけがえのない時間を過ごしている。「子どもを通じて、自然と人間関係の輪が広がりました。みんな普通に受け入れてくれる、いい距離感の地域です」。

都会か地方かではなく、どんな暮らしを家族で選ぶか。亀山さんご一家の移住は、そんな問いに向き合った結果のひとつの答えだった。松山での暮らしはまだ始まったばかり。しかし、新しい土地で積み重ねる日常が、やがて子どもたちにとっての「帰る場所」になっていくのだろう。

 

松山暮らしの本音を教えて

Q 松山を選んだわけは?

移住を検討してはじめて訪れましたが、実際に来てみて人の良さ、温かみを実感したので選びました。温泉が好きなので、道後温泉があること、温泉施設が多いこともポイントになりました。

Q 松山のお気に入りの場所・休日の過ごし方は?

城山公園によく行きます。広くてボール遊びができる公園は、都会ではなかなかありません。伊予鉄道の郊外線に乗って、梅津寺に釣りにもよく行きます。下の子は偏食ぎみですが、釣った魚は喜んで食べてくれます。

Q 移住を検討している人たちへのアドバイスは?

移住に対してハードルが高いとか、大変に感じることはありません。引っ越しや転職は大変でしたが、移住に関わらず誰にでも起こる生活イベントだと思うので。チャンスは限定されるかもしれませんが、子どもの進学先などリアルな情報を得たかったら、居住予定エリアに実際に住む人にヒアリングするのもいいのではないでしょうか。

亀山さんご一家

ご主人は千葉県出身、奥さまは東京都出身。8歳と3歳のお子さんとの4人家族。都会暮らしに大きな不満はなかったが、何気ない会話をきっかけに移住の選択肢が浮上。松山市で開催された移住イベントを経て情報収集を進め、約半年後には松山での新生活をスタートした。

移住時の年代
30代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Iターン
移住時の年代
30代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Iターン